2016年10月25日

■Here was a cold place.

初めての雪場と初めてのソリは
初めて独特の興奮で冷たくはなかった
むしろこの冷めそうにない体温で
この付近全てが解けてしまわないかと
本気で思うくらいに何だか自分が異常なほど特別に思えた

初めての恋もそれと同じで
冷めない体温と異常な興奮と
どんなに付近が冷たかろうと
解けることはないんだろうなって
自分が異常なほど特別に思えた
それは相手も同じなのだろうと
何も疑う予知などなく思っていた

季節が一周し二周しソリはほころび
敷き詰められた淡いものの上をうまく滑らなくなった頃から
体温は正常にそこから奪われているんだって理解してきた
そこは寒い場所なんだって冷たく考えるようになった
それはソリのせいでも淡いもののせいでもなくって

冷たいものは自分自身の方なのだけれど
うまく滑れないことさえ雪のせいだと思っていた
それは相手も同じなのだろうと
そこだけは疑う予知などなく思っていたんだ

季節が三周し四周しソリは壊れた
敷き詰められた淡いものの上にさえ行くことはなくなった
今は体温は正常なまま奪われることも奪うこともないんだって理解してきた
そこは寒い場所なんだって冷たくもなく考えるようになった
それはソリのせいでも出不精のせいでもなくって

冷たいものはお互いのせいだけれど
上を歩くことさえしないのは寒さのせいだと
それはお互いの中にあるのだろうと
そこだけは疑う予知などなく思っていたんだ

新しいソリを買うでもなく季節を過ごし
求めず買い与えられたソリで滑る淡いものの上は
何だか体温も冷たさも互いに感じられない寒い場所だった
本心では喉から手が出るほど求めていくら積んででも買いたかったはずなのに
ただただ寒かったのはそれが初雪じゃなかったからだろうか

ただただ寒い場所は
ただただ与えられただけの場所
ただただ乗るだけで走ってくれるソリなど元々なくって
自分を温める努力も相手を温める気遣いも無意識にできていただけで
自分を温める努力も相手を温める気遣いもしていない今とでは
何もかも違うってことを季節を乗り越えてきたっていう怠慢で見過ごしただけのことだった

勝手に過ぎていく季節は勝手に過ぎていってはいけなかった
勝手に大人になってはいけなかった
ソリからスキーにはきかえもっと楽しめる何かを
自分も周辺も温める何かを
いつまでも淡いだけじゃない解けてしまうほどの何かを
ただ滑らされてるだけじゃなく探し続けなきゃいけなかったんだ

あと二周か三周は一人でもうまく滑れるように
自分を温めることができるように
雪の上へ行くのが怖くないくらいに
ここは寒い場所だと感じなくなるくらいに
その淡いものの空でサングラスをかけないと直視できないものが
寒空の下でも暖かいと感じるようになるまでは
posted by nobu at 01:38|

2016年10月24日

■I wish we met at a different time.

もし後一年遅く出会えていたら
今隣にいるのは君だっただろうか
もし後一月遅く別れていたら
今も隣にある悲しみはもっと浅かっただろうか
今持っている思い出も
今捨てたプレゼントも
何もかもが違っていたんじゃないかって
何もかも変えられない今になって考える

喜びはそうするのが当たり前のように後悔しないのに
別れはそうするのが当たり前のように後悔するなんてことまで
妙に美化した哲学で考えるようにさえなってしまっている

ぼくの陳腐な単語録へ格好つけるためだけに覚えてしまっているだけのものを
君の緻密な作品とも言うべき綺麗な文章へ並べあてがっていくと
いつも二人の間には新しい恋が生まれたんだと思っていたのに

その恋はいつしか君を詩人に変えて
その恋はいつしか君を新しい恋へと変えた

この悲しみがいつかぼくを詩人に変えたとしても
この悲しみがいつかぼくを新しい恋へと変えるのだろうかと
今は詩も恋も生み出せないでくすぶっているだけの瞳と
別れを恥じて前を踏み出せない足と手に
解決に必要な時間が追いついてきたとしても
この緩み下がった口角と気持ちは
やっぱり次の恋じゃなきゃ上げられないんじゃないかって
まだ見つけるあても生まれるあてもない恋をちょっとだけ期待して
もう少しだけぼくは成長していける
posted by nobu at 00:59|

2016年10月23日

■Don't cut the bough you are standing on.

時に人混みで
時にサークルで
真に飲み会で
真にオフ会で
心に充実を
体に満足を

ただ人を求めていた
温もりを
感触を
向けられる好意を
愛ってやつを
性ってやつを

一目惚れって言葉を建前にして
一日で始まって一日で終る恋を
直視したらたまらなく汚れた欲を
偶然や運命って格好つけていただけの告白


人に産まれ落ちて得た無限に近い可能性っていう未来に伸びた枝たちは
そんな安い恋をする度に一つずつ折れてる気がした
posted by nobu at 04:09|

2016年10月19日

■One's own translation.

足し算や引き算はわかる
ボールが上手くキャッチできない
掛け算割り算もわかった
入賞する作品の良さがわからない

人と合わせるとか同じ感性とか
普通とか異常とかの判断も
人と違ってる気がしたんだ

膝を擦りむいても血が出ても
手や指が切れて皮膚がわれても
痛いってことはわかっても
伝える術はわからない
どこからを痛いって言えばいいのか
どこからを我慢して泣かないでいるのかを
誰に合わせればいいんだろう?

言っていいことと悪いこと
悲しむ言葉と嬉しい言葉と
わたしはどうやら人と違うようで
それを人は鈍感だとか非常識だとか
人は何一つわたしを基準にしてはくれなかった


誰かを好きになることにも基準があるのだろうか
わたしの好きとあなたの好きは違うのだろうか
あなたのキスとわたしのキスは違う味がするのだろうか
二人の体温がほんのちょっとだけ違うように

それでも同じ時間と同じ季節と
同じだけの朝と昼と夜を過ごして
それでも違う日々を過ごしてて
だけど他の誰より言葉を交わした
気のせいかもしれないけれど
少しだけ寄り添えた気がした

同じ映画をみて笑うタイミングが
あなたは2秒くらい早かったかな
ジェットコースターでの悲鳴は
耐えてたけどわたしが先に出してたよ

わたしのどこか好きかって聞いたら
4つ5つ答えてくれた嬉しかった
だけどわたしはあなたの好きをあらわすのに
まず嫌いな部分から話しはじめちゃうし
4つ5つじゃ全然足りないくらい好きな言葉はあふれてくるから
今はまだ同じ言葉で好きって言えないから
今はまだもう少しだけ聞かないでいてほしい
同じだけの好きでいられるまでもう少しだけ

あとわたしのどこが嫌いかは聞かないでおく
きっとあなたは4つ5つじゃ足りないくらい言葉が出てきて
本当に好きなのかってことに疑問を持ち始めるかもしれない
そんな感情は一時的なものかもしれないけれど
一時的でもそう思ってほしくないっていう
わたしの基準から言う我侭だ
posted by nobu at 00:58|

2016年10月18日

■I lied to her and she lied to me in turn.

「君は今幸せ?」と聞くと
「今幸せだよ?」と答えた

聞き返された言葉にぼくも語尾を上げて幸せだと答えた

お互いに言葉の語尾が上がっていて
お互いの言葉が嘘っぽく感じていて
お互いの言葉が嘘だとわかっていた

バツの悪い時に髪先を指でねじる君の癖を見ないように視線を外して歩く道は
きっと君もぼくの癖を見ないようにと誤魔化して歩いている道だ

あと2分も歩けば着くはずの近道は人通りがなくって
遠回りしてでも人が多い道にすればよかったなって
そうすれば目のやり場にも無意識に出てしまう癖にも困らなかったのに

幸せか聞いたのも近道しようと言ったのもぼくが先だった
嘘をつかせてしまったのもぼくが先だった
バイバイまたねと別れの挨拶をしたのは君が先だった

気を使うつもりが使われていた
自分がリードしているつもりだったのに
その不器用なリードに優しくのっかっていてくれてた

何もかもがまだまだ子供だった
空回りに必死だったんだ

成長して大人になって余裕と努力と自信が同じ歩みで進むようになれたとして
その中に幸せも歩みの中に同居できるかはわからないから
不幸じゃなければ幸せなんだってこじつけを持ってして
全力で楽しいことするために明後日は
自分からおはようと手を取って近道を小走りしてみようと思う
posted by nobu at 22:04|